少人数私募債を活用した節税
こちらで改めて少人数私募債を活用した場合の利息にかかる税金のおさらいと、金銭消費貸借契約(通常の貸付)での利息にかかる税金の比較をしてみたいと思います。
まず初めにおさえるべきところは、少人数私募債での利息受取分の収入は源泉分離課税となり、金銭消費貸借契約での利息受取分の収入は雑所得となり総合課税の対象となります(但し、20万円以下であれば非課税となります)。
つまり税金を納付する基になる税率が違ってくるのです。
この源泉分離課税と総合課税の違いは、手法は違っても結果的に同じお金を会社に貸して、その利息を受けることですが、少人数私募債での利息は源泉分離課税となり、受け取った利息金額の20%(ここでは復興税は除く)が納付すべき税金となります。
一方、金銭消費貸借契約での利息金額は総合課税となり、該当者のその他の年間の収入と合算してまるごと課税されるため、人によって税率はかわりますが、仮に年収が4000万円を超える社長さんでしたら平成25年税制改正によれば(平成27年所得分から)最高約55%の課税となります。
これをより具体的なケースにより数字で表すと以下のようになります。
例えば、A会社のB社長が運転資金が必要なA会社に5千万円のお金を貸付けたとします。
①金銭消費貸借契約により5千万円を貸し付けたB社長のケース
(年利息5%とする)
(3年間後に返済の契約で5千万円、年利息5%:総合課税を50%と仮定する)
- 1年目 5千万円 年利5% 利息受取金は250万円 税金△125万円
- 2年目 5千万円 年利5% 利息受取金は250万円 税金△125万円
- 3年目 5千万円 年利5% 利息受取金は250万円 税金△125万円
3年間の利息累計 750万円 税金累計 375万円(手取り差額375万円)
②少人数私募債を活用して5千万円を拠出したB社長のケース
(3年間後に返済の契約で5千万円、年利息5%:源泉分離課税を20%)
- 1年目 5千万円 年利5% 利息受取金は250万円 税金△50万円
- 2年目 5千万円 年利5% 利息受取金は250万円 税金△50万円
- 3年目 5千万円 年利5% 利息受取金は250万円 税金△50万円
3年間の利息累計 750万円 税金累計 150万円(手取り差額600万円)
上記の税金の差額①375万円-②150万円=225万円
結果30%分が節税された金額となります。
つまり資金繰りが大変な会社へ同じ金額を貸付けた同じ効果をはかっても金銭消費貸借契約にするか、少人数私募債にするかの選択の違いでB社長個人にとって225万円を節税して財布にのこすか、無知によって気前よく納税するかの大きな違いになってくるのです。
(※この手法は同族会社にあたる利害関係者、ここでいうB社長ができる節税は(平成25年税制改正により)平成27年までしかできなくなりました。平成28年からは同族会社の利害関係人からの拠出された少人数私募債からの利息受取金は、源泉分離課税でなく総合課税にされることになりました。つまりこの節税効果をはかる手法は後残り少なくなりました。具体的なことは税理士さんへご確認下さい)