少人数私募債の概要・基礎知識
少人数私募債とは所謂、社債というものです。
一般的に社債というと有名な会社や大会社しか取り扱えないようなイメージがあるかもしれませんが、実は中小企業でも扱いやすい社債がこの少人数私募債というものに当たります。
ただ、あまり知名度がないので、こういった私募債という会社法の規定を知っている方が多くありません。
そもそも現在の法律で規定されている会社法の以前となる商法の中でも存在していましたが規定があいまいなところもあったため、なかなかその存在自体もうすかったのです。
さて、会社を経営されている経営者の方にとっての資金繰りとは、日々の仕事であり切っても切り離せない重要な仕事であると思いますが、通常の資金繰りといえば銀行等の金融機関からの融資があります。
これを間接金融と呼ぶのですが、では間接の反対後は直接です、間接金融の反対は直接金融というものもあり、それが金融機関等を介さず投資家等から直接資金を借り入れる方法のもので、少人数私募債とはまさに直接金融の見本のようなものです。
それでは、少人数私募債を活用することでのメリット・デメリットを挙げていきましょう。
メリット
- 金融商品取引法(旧証券取引法)に関与しない手続きとなり、行政庁への事前の届出等の手続きが不要であり、許可及び認可がなく並びに手続き費用があまりかからず行使できること。
- 社債利息の金利や償還期間が自由に計画・設計でき、担保も不要で、月々の返済もなく、社債利息も年に1~2回とし、元金の償還は満期日にすればよく、それまで資金をフルに活用できる(通常の金融機関からの融資となると、据え置き期間があったとしても元利均等払いとなることもおおいので利息と元金も返金の一部としなければならず、実質借入元金満額を活用はできない)。
- 間接金融での金融機関への融資のための事業計画より、縁故者への支援を受けるために、さらに深い事業計画・資金使途のための現状分析、問題点の抽出、解決策の戦略を練り具体的な将来の展開を意識することができる(ゴールから考える意識の根付き)。
- 会社の事業への思い、綿密な事業計画を熱く語り支援を縁故者へ求めることができることは、その会社の世間からの評判や社長の人間性がもろに浮かび上がってくる。(自己分析できる)また、金融機関への融資申請とは違いテクニックなどはいらず誠心誠意で資金調達をする情熱が必要なことはビジネスを成功させるうえで必要なメンタリティーであり、その社長自身への覚悟・心構えを今一度振り返ることができる。
といったことで社長自身の情熱活動をみて、会社全体の士気を上げる一つの契機となり募集を募る活動を行っていく中で社員全体の士気の向上をも促すことにもなりえる。 - まだまだ少ないが、区や市の自治体や商工会で社債利息の一部を補助(負担)してくれるところもある(足立区、文京区、川口市、横浜市など。一度、会社所在の市・区役所の商工課等に確認してみてみましょう)。
デメリット
- 償還日(満期日)のときの金額が大きいのでしっかりした償還への資金管理がたいへん。
- 募集への勧誘は49人まで、プロの投資家等は勧誘できない。
- 社債券者が縁故者らなので、逆に常にプレッシャーがかかりすぎると感じること。
- 簡単に資金調達できるわけではない、当たり前だがそれなりの事業計画等の償還(返金)可能である根拠と会社の魅力を伝えないといけない募集にあたる労力と情熱が必要。
以上です。
是非、この際に少人数私募債の活用を一度でも検討してみてはいかがでしょう。